Rの技術 Vol.2 治具の重要性
Dr.TAKUBO's COLUMN
治具の重要性
Rの技術は即ちワークを回転させて塗装する、回転塗装が基本です。
従来のスピンドル塗装にある回転塗装と何が違うのかというと、主に治具の設計にあります。
ここで言う回転塗装とは、ソフトボーイ・プロの天吊り移動型塗装ロボットが塗装するための回転塗装です。いわゆる固定ガンによる回転塗装やバランスアーム型ロボットによる回転塗装とは訳が違います。
それは、ソフトボーイ・プロのロボットアームの動きに無駄の無い、最小の動きで塗装ができること、つまり、ロボットから見て楽な(少ない)動きによる塗装方法です。それには、複数個のワークを回転治具(円形治具)に配置する際に、ロボットにとってワークの傾き具合等を含めたベストなポジションが必要となります。これが、治具設計です。
ソフトボーイ・プロが塗装し易い位置にワークがあること。そこを目指して治具を設計します。ただ単に円形治具にワークを取り付けるだけの治具のつくりではなく、下記のポイントが治具設計に加味されていなければなりません。
◎回転させたときにロボットが無駄な動きをしないこと(塗装時間の短縮)
◎凹凸など回転させたときにスプレーし易い位置であること(タレ、透け、ムラの無い塗装)
◎脱着がし易いこと(準備の手間を省く/効率の良い作業)
◎コンパクトであること(乾燥炉が無駄に大きくなるのを防ぐ)
◎ゴミがつきにくいこと(不良の防止)
◎希望する塗膜形成ができること(超光沢/ピアノタッチを求める場合等)
これらは、つまり、塗装コストをさげて、高品質な塗装を量産するための条件なのです。
ソフトボーイ・プロによるRの技術は、ワークの種類によって、お客様に治具そのもの(マスク治具)を含めて改善のご提案もします。
従来は四角のパレットにボタンを配置して塗装していた物を、ドーナツ状を4分割したような特殊なパレットを作っていただき、その上にボタンワークを配置して、回転塗装をご提案した例があります。そうすることにより塗料使用量を削減でき、回転塗装の強みを発揮できるようになりました。
ワークは、膜厚にシビアな内照式ボタンで、レーザーカットによる文字仕上げです。
従来の枠にとらわれず自由な発想でトライすると思わぬ効果が得られるものです。
次回Rの技術 Vol.3は、 ソフトボーイ・プロによる塗装条件設定 です。