塗装方式-1
回転塗装に関するQ&A
Q. 今なぜ、回転塗装なのですか?
A. 長年ロボット塗装を追及していく中で、ロボットによる1個塗りから、量産による網塗り(直角塗り)や一般的なスピンドル塗装を研究した結果、複数個のワークを円形治具に取り付けて治具毎回転させて塗装する回転技術にたどり着きました。塗装データを比較すると結果的に低コスト、高品質、塗装時間、量産効果が高いことが判明。時代とともに塗装の品質要求が厳しくなり意匠性の高まりにより、塗料も高額高級化した中でこの回転塗装の技術が最高のパフォーマンスを見出しました。
Q. 「追っかけ塗装」と「待ち伏せ塗装」とは何ですか?
A. ロボット塗装は元来固定されたワークを塗装するすなわち自らが出向く「追っかけ塗装」です。回転塗装である「待ち伏せ塗装」とは、網塗り塗装である「追っかけ塗装」に対して回転しているワークを待ち伏せて塗装する方法です。回転塗装による「待ち伏せ塗装」は、実質スプレースピード3倍程早くなることになり、しかも、ティーチングが簡単で薄塗りの重ね塗りをしているため、薄く、早く、綺麗に仕上げることが可能になります。
Q. 回転塗装で塗料消費が少なく抑えられるのはなぜですか?
A. 塗料の使用量を抑えるには無駄な消費を抑えることから始まります。すなわち、無駄吹きを無くすことです。回転するワークに対し塗装する部位に最適な吐出量コントロール(霧化・パターン設定)をすることで無駄な消費を抑えることができます。「パックティーチングソフト」は8段階の吐出コントロールが可能。回転塗装による薄膜の多重塗装が、塗装の低コスト化を実現しています。またさらに、スプレーガンや回転機構、ロボットや塗料供給装置などが高度な制御によりそれらを実現可能にしています。
Q. 回転塗装はなぜ仕上がりが優れるのですか?
A. 塗り回数が圧倒的に多い薄膜の多重方式による、すなわち回転の「待ち伏せ塗装」だからです。スプレーガンはある一定の位置を保持し、ワークが回転することで薄い塗膜ができ高品位に仕上がります。もちろん、低圧霧化の自動ガンも重要で、それらをコントロールするティーチングソフト「パックティーチング」も必須となります。
Q. 回転塗装を支える機器とは、どの様な機器ですか?
A. 移動式天吊りロボットソフトボーイ・プロシリーズ、クロスモーションバー搭載自立式スワンロボット、精度の高い回転機構が付いた搬送装置、低圧霧化のスコッチガン、ティーチングソフト「パックティーチング」塗料精密定量供給装置シリンジポンプシステム、オイルブース等々が高度な制御技術により連携し回転塗装を実現します。「パックティーチング」ソフトのほかに回転塗装の支援ソフトとして「ディスクパック/DISC-PACK」と「ケイタイパック/KEITAI-PACK」ソフトがあり。「ディスクパック/DISC-PACK」は、ワークを平置きした時の奥行き方向(円の中心)をポイント登録する回転塗装用のティーチングソフトで、「ケイタイパック/KEITAI-PACK」は、すなわち携帯電話やスマホなどを複数個縦置きにして、回転させて塗装する時に高さ方向をポイント登録するだけで複雑なティーチング作業を省く支援ソフトです。
Q. 回転数はどの様に決めているのですか?
A. 回転ワーク治具の外径の周速が3m/s前後になる様に治具の直径を決め、回転数をティーチングソフト上にて設定します。
Q. なぜ回転塗装は膜厚が均一になるのですか?
A. ワークを回転させることで、薄く何回も塗ることにより均一に塗膜が形成されます。一般的に塗り重ね回数は80~250回程度となり、何回も重ねて塗ることで実現しています。
Q. 回転塗装における治具設計の注意点は何ですか?
A. 治具によってコスト・仕上がり・塗装時間が大きく変わる回転塗装の中で最も重要な点です。ワークを円形に配置し、ロボットの無駄な動きがない様に傾きを含めたワーク位置決めをし設計します。回転させた場合風切り音があまりしない配置がベストです。
ティーチングに関するQ&A
Q. 通常のロボットティーチングとの違いは何ですか?
A. 一般のロボットティーチングは、面倒で解りにくいロボット言語を入力する必要があります。ソフトボーイ・プロシリーズやスワンロボットなどのティーチングは、入力を簡素化したオリジナル開発の「パックティーチングソフト」を使用しています。塗装をするために考えられているために、ティーチングをアシストするソフトウエアも充実していてしかも、パソコン入力なので操作が簡単です。
Q. ロボットティーチングが簡単な理由を教えてください?
A. 一般的なロボット言語を入力する方式では無く、動作条件とスプレー条件をPCに入力するための独自開発した【パックティーチングソフト】により簡単な操作を実現しています。さらに、ティーチングを簡単にしている要因は、支援ソフトのほかに、他でもないワークを回して塗装する「待ち伏せ塗装」そのものがあるからです。回転するワークをロボットがトレースするだけの手軽さが基本的にロボットのティーチングを簡素化しています。独自開発のティーチングソフト「パックティーチング」のほか回転塗装の「待ち伏せ塗装」の組み合わせがティーチングを簡単にしています。
Q. 回転塗装はなぜワークの表と裏を塗装する事ができるのですか?
A. ロボットのスプレーガンが入りやすい回転治具設計とのティーチングの操作で、外側と内側を同時に塗装することができます。回転塗装は、治具を工夫することで回転治具の中心部に当たるワークも塗装可能にするほか、マスク治具を併用することでさらに混み入った塗装も回転塗装で可能になります。
スプレーガンに関するQ&A
Q. なぜ、低圧霧化が必要なのですか?
A. なぜ低圧霧化での塗装が必須かというと、塗料の使用量を下げるにはまず使用する塗料を減らすことから始まります。少量で塗装をすれば塗装コストが下がります。そして、低圧霧化を実現する自動ガンが必要になります。そしてそれらをフォローする回転治具とティーチングソフトとロボットとの連携作業となります。
Q. 複数ガンに塗料を送る時の誤差はないですか?
A. 殆ど誤差は有りません。基本的に、1シリンダーに対し1スプレーガンを割り当てていて、塗料供給装置シリンジポンプの正確な動作とそれを制御するコントローラが誤差なく塗料を1cc単位で供給させています。
塗装に関するQ&A
Q. グラデーション塗装は可能ですか?
A. 回転塗装の「待ち伏せ塗装」と低圧霧化のスコッチガン。シリンジポンプの正確な塗料の吐出量コントロールによりロボットの「パックティーチング」ソフトの設定で塗装ロボットによるグラデーション塗装の再現が可能になります。
Q. 蒸着後のカラークリアーによるカラーイング塗装は可能ですか?
A. 塗装の中でも非常に難しい分野ですが、精密な吐出量コントロールにより可能になります。実現の決め手は、回転塗装の薄膜多重方式です。
Q. ノートPCやタブレットPC等の平な製品は回転塗装が可能ですか?
A. 平置きの塗装では中心部と外周部では周速が異なるため、膜厚を均一にすることは非常に困難でした。専用ソフト「ディスクパック/DISC-PACK」を開発し、これを可能にしました。外周部のスタートポイントを登録し、中心部のエンドポイントを登録。あとは、2点間の移動速度を入力するだけでい実現します。
公開日:2016年11月11日